ラテンアメリカと私 目次へ |
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キューバの裏側を覗く |
一昨年あたりから、ラテンアメリカのニュースはキューバがらみの物が目につくようになってきた。オバマ前大統領がフィデル・カストロの弟のラウル・カストロと交渉し、初めて自身も米国大統領として初めて訪問すなど雪解けが急速に進んだからであったが、しかし、トランプが大統領になって、にわかにこの雪解けムードも怪しくなってきた。 数年前までは、キューバ観光は米国との国交が回復するまでが旬で、それ以降になると観光資本が世界から入ってきて、古きよきキューバの魅力が失われていくだろうから、ただの、島国になってしまう、と言わていた。たしかに、1950年代のガソリンを撒いて走ると言われる、5,000CCクラスのビュイックやクライスラー、ダッジなどは国宝級である。この光景を見るだけでもキューバへ来る価値がある。しかしトランプになって、何やら行方が不安になってきた。今までの耐乏生活に終止符を打てるかもしれないと期待したキューバ国民には気の毒なことである。 今の世界では社会主義国はもう10もないだろうけど、正統派社会主義?を実践してきた誇り高き国である。ソ連の後盾がなくなり、親友だったベネスエラのチャベスが居なくなり、四面楚歌なのに反乱も暴動も起きないのは、カストロ議長が自から労働者や下層階級と同じレベルの生活をしていたからだと言われる。まさに社会主義の見本であろう。中国や北朝鮮にカストロ兄弟の爪の垢でも飲ませてやりたい思いである。それでも社会主義嫌いの日本とは不思議に午が合うのか、昔から友好親日国である。孤高の社会主義国クーバに栄光あらん事を祈るばかりである 。 (スペイン語の正式国名はクーバである、CUをキュとは発音しない。ついでに申し上げておくと、Hは発音しないので、ハバナはラ・アバナと言う) クーバは思想信条だけでなく、その他の点でも特徴的だ。各国のラテンアメリカ音楽の源泉である。メキシコのボレロもバラードも、あのタンゴも西アフリカからクーバ経由でラプラタ河口地帯に売られてきた奴隷達が持ってきたアフリカのリズムが、タンゴに発展したという説もある。国内をざっと見ただけでもこの国の縮図を見ることができる。すなはち、2,3階建てのアパートが多いが各部屋には家具らしいものはあまりなく、あるのは数脚の椅子とテレビとベッドくらいだけとか。街には宣伝広告が一切ないのは社会主義には競争がないから宣伝広告は不要だからとか、貧富の差をなくすのが社会主義なので乞食が居てはまずいけど、実際は乞食同様の物乞いがいるも事実である。質素な生活に余分な食料はないので通りには犬が少ない。 そして輸出品もユニークである。コーヒーはとにかく、音楽とか葉巻、ラム酒、砂糖それに大きいのがスポーツ選手の派遣である。彼らは国家公務員で、稼いだ米ドルは国庫の収入になる。時には売春婦も外貨を稼ぐ功労者だと比喩されたものである。フィデル・カストロが健在の頃は彼のことを話題にするときには、左の襟に人差し指と中指2本をあてて言葉で名指しはしなかった。議長の襟章をさすのだ。 ここに集めた写真は、自分で撮ったものや国内の友人やラテンアメリカの友人から提供してもらったものなどで、昨年の後半以降のごく最近のものである。テレビなどで放送される表通りだけのクーバの社会だけでなく、路地裏に入ってのもの多いので、多少は違った真実がお分かりいただけたならば望外の喜びである。 2017年2月 銀乃 川太郎 (写真の無断使用はお断りします) 先頭ページへどうぞ |