南北4200キロのチリ国内を縦走すると世界の四季を味わうことが出来ると言われる。そのくせ東西は平均で僅か180キロしかない。サンティアゴのアルツーロ・ベニテス国際空港を東に向かって飛び立つ時、機内のモニターを見ていると、今にもアンデスの山にぶつかりそうな恐怖を感じる。それほど幅が狭い国である。人種はアルゼンチン同様白人が90%以上を占める。第二次大戦の敗戦で追われたドイツ人が沢山入ってきていると言われているが、ブラジルと共にもともとドイツ人の多い国でもある。そのせいかどうか、チリ人は几帳面である。そのため何事もHasta manana(すぐやらないこと)のアルゼンチン人とはそりが合わない。だから、昔から仲がよくない。マルビーナス戦争の時も、敵の敵は味方の理屈でチリは英国を密かに援助していた。
  ピノチェット軍政時代に有名な小話がある。「アンデスを越えてアルゼンチンにやってきた犬をみて、アルゼンチンの犬が、”なんであの厳しい山脈を越えてわざわざやってきたんだ、食糧がないのか?”、と聞くと、チリの犬は”食糧は沢山あるよ”、”じゃ、寝るところがないのか?”、”寝るところには困らない"、”じゃ、何しにやってきたんだ?”、”思いっきり吼えたかったからさ”と答えた。」と言うものである。軍事政権の国は治安が良いし、街が清潔なので旅行者には有り難いが、そんなことをその国で言ったら袋叩きにあうだろう。
  今でこそスーパーでチリ産の鮭は珍しくなくなったが、この鮭はJICAが長年かけて、鮭の回帰本能を北半球のものから南半球に変えて漁獲量を増やしたためである。北海道と緯度が略同じなので簡単だと思っていたのが、とんだ思惑違いで長年苦労したらしい。チリは親日国である。世界最大の一衣帯水関係だからかもしれない。バルパライーソには毎月日の丸の船が入る。日本のパルプもチリ産が相当量を占めているはずである。イニシャルがCの三つの国、いわゆる3C(チリ、コロンビア、コスタ・リーカ)は美人が多いと言われている。馬鹿な日本人から10億円以上も貢がせたチリ女がいたが、その人種的特長を知っていれば絶対に引っかからなかったと思う。ラテン・アメリカの女性はどこも大体同じだが、可愛い、綺麗は20歳までで、そのあとはひたすら脂が厚くなり、奇妙に下半身が巨大化して全く別人のようになるのだ。
   それでも、チリは一度行くとそれなりに、珍しい経験ができるし、楽しい、面白いこともある。そのために、この写真展が参考になれば、撮影者にとっても編集者にとっても望外の幸せである。      
(撮影:鳥山妙子、編集:銀乃 川太郎)

サンティアゴ バルパライーソ
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