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  ラテン・アメリカ人の人間生態学 No.4
    【道徳違反をした者の行き先は明白である】

  2022年は、アルゼンチンが英国と本気で戦ったマルビーナス(フォークランド)戦争から丁度40年目になる。1982年4月、私は、戦争が始まるかと、世界中が緊張していた時期にブエノス・アイレスに赴任した。会社の重役さん方は、あたかも四十年前に、出征軍人を送った時のような心境になったらしく、戦地に行くのだからくれぐれも気をつけて暮らすように、と言ってくれた。戦争は約2ヶ月の後、あっけなく英国の勝ちとなり、長年続いたアルゼンチンの軍事政権が崩壊するきっかけとなった。海軍基地があったパタゴニアの港町は、”あんな戦争なんか、歴史の中の胡麻粒のようなできごとさ”と言うように、静まり返っていた。あの戦争の始め頃、就任まもない法王ヨハネ・パウロ二世がアルゼンチンへやってきた。90%以上がキリスト教徒のアルゼンチン国民の熱狂的歓迎を受けたことは言うまでもない。2005年にこの法王が逝去され、アルゼンチン人が新法王になった。キルチネル大統領は、新法王が就任する式典に出席した。

 ・・・ 法王と言えどもあの世の入り口では庶民と同じような待遇をうけるらしい。法王が着いた所は、どこをどう間違ったのか地獄であった。  赤鬼、青鬼達は驚いた。鬼達と言えどもヨハネ・パウロ二世のことはよく知っている。
    『法王、これは何かの間違いです。すぐ調べますので少々、お待ちください』 と丁重に扱った。 
  ヨハネ・パウロ二世は、
     『お〜お〜 そうか。 お手を煩わしてすまないことじゃの〜』  
  大慌てで”天国”と交信した鬼達、間違いを突きとめ、
     『法王様、やはり手続きの間違いでした。法王は”天国”に行くことになっています。』
     『そうかね、そりゃよかった』

     『法王様、あそこの奥にある階段を上って下さい。そうしたら”天国”です』

     『面倒をかけましたな。それじゃ行かせてもらいますよ』


  ゆくりと階段を登ってほぼ真ん中に辿りついたら、上から元米国大統領のレーガンが降りて来て、
     『これはヨハネ・パウロ二世法王、こんなところで何をされているんですか』
     『いや〜 ”地獄へ行ったんだが、何かの手違いだったようで、”天国”に行く途中なんじゃよ。
      長年、楽しみにしていたバージン・マリアにお会いすることができると思うと、うれしくてな〜』


  ネクタイを締めなおしながら、頬を赤くしたレーガン、小さな声で、、、、
     『そりゃ〜そうだけど、マリア様が、バージンかどうか、、、、』

 ★ 道徳に反する行為をした者の行き先は明白である。未来永劫に道徳に反する行為はすべからず。