≪ 5. アジアに進出するアルゼンチン・ワイン≫ アルゼンチンやチリのワインが日本に沢山出回るようになってから、ブエノス・アイレスの新聞に出るワイン関係の記事や、ワイン関係の雑誌などに関心を持つようになった。そこで、現地在住の友人に頼んで、ワインに関する新聞記事やワイン専門週刊誌などを送ってもらってきた。アルゼンチン・ワインのお話も本題が終わったので、これらの記事の中から興味のあるものを選んで紹介してみたいと思う。 近年、輸出に力を注ぎだしたアルゼンチンのワイン醸造業者は、日本だけではなくアジアの各国へも進出を計っている。その手始めとして台湾で大規模な試飲会を催し、毎年主要都市において試飲会を行ってきた。2007年には東京の他にも上海、ソウルで行った。日本においては数年前より東京・広尾のアルゼンチン大使館のサロンにおいて開催されてきたが、2006年にはホテル・オークラで、当時の扇千影参議院議長夫妻や駐日アルゼンチン大使が出席した大規模は試飲会が行われ、2007年以降もアルゼンチン本国の主なボデーガを呼んで、アルゼンチン・ワイン・協会主催のセミナーや試飲会を行っている。(試飲会の模様については後で述べる)。 台湾の一人当たりの生活水準は3,500ドルとアジアでも裕福なこともあり、健康維持のための支出が大きなウエイトを占めている。台湾のワイン市場は、フランス・ワインが75%を占めてトップで、ついで、カリフォルニアものが12.5%(下の写真)、オーストラリアが3.0%、チリは6番目で輸出額は260万ドル、量にして62万リットルである。アルゼンチンはと言うと僅か3万6千リットルに過ぎない。しかし逆に言えば、アルゼンチン・ワインはまだまだ伸びる余地があるとも言える。 台湾の市場はフランス・ワインがほぼ独占してきたため、台湾で高級ワインと言えばフランス物を指すのが常識になっている。しかし近年、各国が宣伝キャンペーンを積極的に行うようになって、この状況は変わりつつある。安い値段で競争力をつけた、フランス以外の国のワインを試してみようとする人が増えてきた。その効果の現われか、台湾へワインを輸出していた国は、1994年の17か国から現在では26か国に増え、台湾市場には毎年2千300万リットルを越す外国ワインが輸入されており、アルゼンチン・ワインも着実にその地歩を築きつつあるようだ。 日本で良く見られるカリフォルニア・ワイン「カルロ・ロッシ」。3リットル入りのダマフアーナ瓶(後ほど説明)と750ミリの標準サイズの瓶がある。味は甘口だが”こく”が薄く、普通のテーブル・ワインの域を出ない。 さらに、アルゼンチンの経済紙は、老舗のノルトン醸造が、北京から250 キロほど離れたチャン・リと言う町に、300ヘクタールの葡萄園を造成し、アルゼンチンの技術で「ノルトン」ワイン(左の写真)を造ることになったと、報じている。 『左』ノルトンの白ワイン。葡萄苗木の種類が書いてないが、「自前の葡萄園から選別された葡萄を使ったので品質は保証する、樫の木の樽に寝かし、自社の貯蔵所で瓶に詰めた」 と書いてある。 『右』大きな樽に入れられた果汁は10日〜20日で醗酵し、その後、樽やタンクに入れられて1〜2年寝かされる。材質は樫が一番良い。(製造工程は後で説明する)。 ノルトン醸造は世界の27か国に、年間12,000〜24,000本のワインを輸出している醸造会社である。アルゼンチン企業の中国進出は、ジョイント・ベンチャーは別として単独企業ではノルトンが第一号ではないかと言われている。 「世界の葡萄栽培栽培面積に対する各国の葡萄畑の比率」 スペイン15.9、イタリア11.9、フランス11.9、トルコ7.3、米国3.9、ポルトガル3.4、、ルーマニア3.3、イラン3.2%、アルゼンチン2.9、その他36.5%となってる。その他には、ドイツ、チリ、オーストラリア、南アフリカなどが含まれる。世界の葡萄栽培面積に対する比較なので思わぬ国がランキングされているが、アルゼンチンについては余裕が感じられる。 (この項には朝日新聞2000.6.17 ウイークエンド経済、2006.10.21(土)be Report、2000.8.18メリルリンチ日本証券広告の記事から一部引用した)。 (つづく) 2023.11 corrección |
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