【地球の裏側を走る =アルゼンチンの車と人と街並み=】 No.7 第3部 ≪一人前のドライバーへの試練≫ 3.一人前のドライバーとは 一方通行の道は概して走り易いし、曲がる時でも対向車がないから予め曲がる方向の車線に寄っていればよいのだから便利である。しかし、通りによっては、このようにいかない場合もあるので、そのような通りではその要領を覚えておかないとひやりとすることがある。 ヌエベ・デ・フーリオ大通りはブエノス・アイレスの名物の一つで、長さは約4キロしかないが幅は144メートルもあって、”ポルテーニョ(ブエノス・アイレス生まれの人達)”は世界で一番大きい通りといって自慢している。この通りの中ほどにタンゴの題名や歌詞に幾つも出てくる「コリエンテス大通」との交差点があり、さらに「プレシデンテ・ロケ・サエンス・ペーニャ」と言う長ったらしい昔の大統領の名前の通りが、この交差点を斜めに突っ切って大きな六差路を形成している。コリエンテス通りには映画館、劇場、それに銀行や輸入品などを扱う店などが多い。サエンス・ペーニャ通りには銀行や官庁、オフィスビルなど古くて威厳のある建物が並んでいる。この六差路にはブエノス・アイレス市創設四百年を記念して1936年(昭和11年)に建設されたオベリスコが聳えている。(注参照) その下は「プラサ・デ・ラ・レプブリカ」と言う広場で、周囲はロータリーである。広場はそれほど広くないが、かっては土曜日や日曜日に大勢の若者が集まり、即興の音楽会や大道芸などをやったり、政治集会などが行なわれたものだが、今では周囲に柵が出来て中に入れなくなってしまった。 このロータリーの回り方はちょっと難しく、もたもたしているとすぐに後からクラクションを鳴らされる。しかし、慣れてしまうとこのロータリーを巧く利用して、幅144メートルもの広い通りのUターン
かくして、漸く一人前のドライバーとして、日本からの出張者を乗せて市内の案内も勤まるようになる。これができて、来訪者の希望に応じて信用の出来る土産物屋を紹介し、美味しくてサービスの良いレストランに案内できるようになれば、もう頼りがいのある立派な駐在員と言うものである。 (注:オベリスコ:1936年にプレビッチという建築家が157人の労働者を使い、僅か31日で完成させた。出来たときは表面全部が白色石灰岩で綺麗に覆われていたが、真下を通る地下鉄の振動でそれが剥がれ落ちてしまった。正確な高さは67.5メートルで国会議事堂の尖塔80メートルより低い。内部にはエレベータで上まで登れるように穴が開いているがエレベータは設置されておらず、最上部まで200段の鉄格子があるだけである)。 ≪写真はオベリスコと周囲のロータリー。幅144メートルのヌエベ・デ・フーリオ大通りで右下が北、左上が南≫ |
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