ラテン・アメリカ人の人間生態学 No.2
【目上の忠告は素直に受けいれるべし】
昔、私たちが子供の頃は、ちょっとした空き地があると、たちまち子供達の草野球場になった。野球といったって、一辺が50メートル もないような広場では、本当にバットで打つわけにはいかないから、地面に転がしたボールを打つゴロ野球である。でも、今では、こんな幼稚な遊びをする子供はいなくなってしまった。ラテン・アメリカの国では、昔も今も雨さへ降らなければ、どこでも、いつでもフットボールである。サッカーをフットボールと言うのは日本だけだと言う人もいる。どっちでもいいことだけど。 陽が西に傾いて、無心にボールを蹴るだけの”フットボール”の子供達の姿が消えると、大人の出番である。若いカップルが薄暗くなった通りを、犬の糞も気にせず、手をとりあってやってきた。
・・・ そんな様子を見ていた年老いた労働者風の男が叫んだ、
『間抜け野郎! こんなところを散歩なんかしてないで、どっか暗い所へ連れ込め! そこでやっちまえよ!』
カップルの男は、恥ずかしがって女の手を引っ張って、足早に近くの公園に入って行った。今度はそこにたむろしていた数人の老人に怒 鳴られた。
『手なんかつないでぶらぶら歩いてないで、そこいらの草叢に連れて行くか、モーテルに行って、早く愛を確かめろ! 散歩なんて年寄 りがすることだ、みっともないことするな、馬鹿やろう』
明るければ顔が真っ赤になっているに違いない男は、恋人の手を取って走り出した。
公園を出て彼女の家まで、ほうほうの体で辿り着き、彼女に言った。
『また明日ね、愛してるよ』 とささやいた。
彼女は目を吊り上げて答えた。
『ええ〜〜!! また明日〜? もう会ってやるもんか、つんぼで鈍感の大馬鹿野郎!』
★年上の助言、経験者の忠告や教示は素直に受け入れることは大事なことである。
聞き入れないと、本人のイメージを落とすことは元より、人生の損失にも繋がることになりかねない。
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