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ラテン・アメリカ人の人間生態学 No.3
 (子供達の生き方を暖かく見守るべし)


   
”アルゼンチン国民の生活を犠牲にまでして外国からの借金を返すことはない! IMFは、それを肝に銘じるべきである!” と絶叫して2003年5月に大統領に就任したネストル・キルチネルさん((53)、アルゼンチンで最も辺鄙な地方であるパタゴニアは、サンタクルス州の知事であった。ペロン党の中では中道左派に属する。はじめは田舎者大統領に何ができると、国民からなかば冷ややかに見られていたものの、2005年3月に実施した、≪国債70%カット、残り35年払いの新国債へ切り替え≫の措置は、75%を越す債権者が受け入れたことで、一挙にアルゼンチンの公的債務が減少した。これで、キルチネルさんの人気は大上昇、2007年10月の任期満了にとなう選挙では、奥さんのクリスティーナ・フェルナンデス女史(54)が1回目の投票で当選を決めた。国民生活にも余裕がでてきて、人々の顔にも明るさがみられるようになった。しかしながら、そのその極楽もつかの間,今はまた元の木阿弥にお悩みとか。

 ・・・ そんな雰囲気の街の一隅で、40年振りに4人の幼友達がレストランで再開して旧交を温めた。美味しい料理を食べワインを飲み、思い出話に時間は過ぎて行った。そのうちに一人がトイレに立った時、3人の話は子供達のことになった。

 一人が言った。
 『私の息子は、私にとって「誇り」に思うように成長したよ。会社のメッセンジャーボーイとして働きながら大学で勉強し、経営学を修め、アメリカにも留学、会社の重役になり、今じゃその会社の代表になっているんだ。親友を大事にするという心根も持っていて、親友の誕生日には新車のベンツを贈ったんだ。』

 二人目が言った。
 『それは良く出来た子供だね。私だって、息子を一番誇りに思っているさ、旅行会社のセールスマンから身を起こし、仕事をしながらパイロットの免許を取った。そして航空会社に入って、仕事振りを認められ、重役はもとより共同経営者になって、今じゃその会社の過半数を持つ株主になっているんだ。大金持ちになったんだからからと言って、親友の誕生日に、ボーイング777のプレゼントをしたんだそうだ。』

 
三番目が話を遮った。
 『お二人の息子達に乾杯だね! しかし、私の息子だって大金持ちなんだよ。建築学を学び、建築会社を起こして大成功してる。もう有り余る金を稼いでおり、親友の誕生日に1000平米の大邸宅を贈ったんだよ。私だって君たちと同じように息子を誇りにしてるんだ。』


 三人がお互いの息子を褒め称え、祝杯をあげているところへ
四人目の幼友達が帰ってきた。
 『なんだ、どうして三人で嬉しそうに祝杯を交わしているんだい?』

 三人はそれぞれ、息子達が、親が誇りに出来るように立派になったことを話していたんだと言った。
 『ところで、お前の息子は何をしているんだ?』

 『息子か? 息子はゲイなんだよ。ゲイ・バーでゲイ・ストリッパーとして毎晩、
 踊りながら生きているんだ。』


 『そりゃ残念だな。ゲイか? 気を落としているのがよくわかるよ、同情するね。』

 『いや〜、なんとも思っていないよ。 それに、息子に変わりはないし。お前さん達と同じように息子を自慢できるし、誇りに思っている。しかもだ、幸運に恵まれているんだ。先日、息子の誕生日に土地1000平米付きの新築の大邸宅に呼ばれて行ったら、この家は親友から贈られたものだと言うんだ。もう一人からはボーイング777の飛行機を貰ったし。3人目の親友からはベンツの新車を貰ったと言っていた。親友を三人も持っているし、親友を大事にする息子なんだよ。』

 
★男女の人権,個々の人権が尊重される時代である。息子や娘の生き方にも同様で、どんな生き方であれ暖かく見守って行くべきである。