ラテン・アメリカ人の人間生態学 No.12 【世間には漁夫の利を狙う人間が多いことを忘れてはならない】 ラテン・アメリカの国々にも、これまで聞いたことが無かった職業が登場してきた。「不良債権の取立て業」と言う商売で、テレビで広告宣伝までしている。どうゆう人間がやっているのかというと、マフィアの息のかかった「元警察官」、「元国税庁徴収官」や弁護士などが関わっているらしい。 マフィアのボスが不良債権取立てに聾唖の男を雇った。もし、恐喝や脅迫と言うことで捕まっても聾唖者なら白状できないからである。 この男、ボスが指定した先からの取立てを忠実に守り、最初の一週間で5万ドル、翌週にはさらに多くの取立てをして、ボスを喜ばせた。三週間目に指示された取立ては50万ドル、これだけの金があれば・・・・・・と考えた男、金を隠してほとぼりが冷めるまで街から逃げることにした。 怒ったボスは、各地の組織網を使って、聾唖者の男を捕まえ、聾唖者と会話が出来る男を雇って尋問した。 「何処に金を隠したかを聞け!」 とボスは怒鳴った。 通訳の男は、聾唖者にボスの言葉をそのまま伝えた。 「何処に金を隠したんだ?」 聾唖の男は、身振りで手振りで通訳に、 「何を言っているのか分からない」 と答えた。 いらいらするボスは通訳にまた怒鳴った。 「なんと答えているだ?」 通訳は、「何を言っているのかさっぱり分からない、と言っています」 マフィアのボスは38口径のピストルを聾唖者の耳に押し当て、通訳に 「もう一度聞け、50万ドルは 何処に隠した?」 身震いする聾唖者は唇を震わせながら、 「中央広場の入り口から入って・・・左側の3本目の木の下・・・・」 通訳はボスに伝えた、「そんな脅かしに怖がると思うか、ピストルの引き金を引く度胸もないくせに!、 Hijo de puta! (注) と言っております」 (注) hijo は息子、puta は売春婦。 hijo de puta は熟語で”大馬鹿やろう、 くそったれ”。 教訓: 人生における親友、ビジネスにおける信頼できる側近がいることは重要で、それ次第で運命を大きく左右することになるが、それとともに、世の中には”漁夫の利”に目敏い人も多いことを忘れてはならない。 |