ラテンアメリカ雑感 (5) 
 ラテンアメリカの艶笑小話より

 
私がラテンアメリカ雑感と言う表題でこのエッセイを書き始めるようになったのは2007年でした。始めのころは内容がサラリーマン時代の仕事であった通信事業に関することが多かったのですが、いつしか関心の高いラテンアメリカにかかわる話を取り上げるようになってきました。中米やカリブ海から南の広大な大陸を含むラテンアメリカ地域には世界中の人種が集まっています。従ってものの考え方についても千差萬別、日本人には理解できない哲学や文化を持っています。人類共通でもある艶笑話にもラテンアメリカらしさに満ちた面白い話が沢山あります。ここではその中から傑作を五つばかり拾ってみました。

★【目上の忠告は素直に受けいれるべし】
  ラテン・アメリカの国では、雨さへ降らなければ、どこでも、いつでもフットボールである。フットボールをサッカーと言うのは日本とアメリカだけだと言う人もいる(アメリカはアメフトと区別するためだとか)。どっちでもいいことだけど。 陽が西に傾いて、”フットボール”の子供達の姿が消えると恋人同士の出番である。若いカップルが薄暗くなった通りを、犬の糞も気にせず手をとりあってやってきた。
 ・・・ そんな様子を見ていた年老いた労働者風の男が叫んだ、
  『間抜け野郎! こんなところを散歩なんかしてないで、どっか暗い所へ連れ込め! そこでやっちまえよ!』
  カップルの男は、恥ずかしがって女の手を引っ張って、足早に近くの公園に入って行った。今度はそこにたむろしていた数人のホームレスらしき老人に怒鳴られた。
  『手なんかつないでぶらぶら歩いてないで、そこいらの草叢に連れて行くか、モーテルに行って、早く愛を確かめろ! 散歩なんて年寄りがすることだ、みっともないことするな、馬鹿やろう!』
  明るければ顔が真っ赤になっているに違いない若い男は、恋人の手を取って走り出した。公園を出て彼女の家まで、ほうほうの体で辿り着き、彼女に言った。
 
 『また明日ね、愛してるよ』 とささやいた。
 
彼女は目を吊り上げて答えた。
  
『ええ〜〜!!  また明日〜? もう会ってやるもんか、つんぼで鈍感の大馬鹿野郎!』 ***

★【油断大敵】
 20歳になった女中のリタは、彼氏とデートするにはもう少し給料を上げてもらわないと・・・ということで、奥様に給料値上げを申し入れた。
 
「奥様、毎月の給料をアップして頂きたいのですが」
「十分に支払っていると思うけど、どうしてなの?」
 「奥様、上げて頂くべき理由が三つあるんですよ」
「聞かせてちょうだい」
  「一つは、洗濯物のアイロンかけは、奥様より私の方が上手いことです」
「誰がそんなことを言ったの?」
 「ご主人です」
「二つ目の理由はなんなの?」
 「二つ目は、奥様が作る料理より、私が作る料理の方が美味いからです」
「誰よ、そんなこと言ったのは?」
 「ご主人です」
「ふーん、ところで、三目の理由は何よっ」
 「ベッドでのあれのテクニックは奥様より私の方が格段に上手いと言うことです」
「ええっ〜 それも主人が言ったの?」

 「いいえ、 これは、お家に来る植木屋のカルロスが言ったんですよ」 ***


★【夫婦であっても互いの秘密は尊重すべし
 結婚30周年を迎えたネストールさんとクリスティーナさんが、レストランで豪華な料理を楽しんでいた、、
ほんおりと頬を紅くした妻に向かって、突然夫が真剣な顔で、、
「クリスティ、今日で30年の夫婦生活なんだけど、一つ聞きたいことがあるんだ、、」
 「何よ、真剣な顔をして、どうしたの?」
「怒らないで欲しいんだよ、二人の愛は絶対に変わらないんだから」
 「勿論よ、私達は夫婦なんだから」
「ただ一つだけ聞きたいのは、30年の間、君は不倫をするチャンスがあったかどうかということなんだ、、、」
クリスティーナはワイン・グラスをテーブルに置いて、真剣な顔の夫を見つめ、、
 「なんで、どうして今頃、そんなことを聞くの?」
ネストールは一瞬黙り込んで、 そして言った。
「いやーー、本当は聞いてはいけないんだろうが、、だけど知りたいんだ。決してその、、頼むよ、、」
クリスティーナは夫の真剣な眼差しにうろたえながら、、、
 「分かったわ、そう、、 この30年の間に、、3回、、3回だけ、、貴方に悪いことをしたと思っているわ!」
「えっ!3回も、しかし過去のことと割り切るよ、だけどその3回はどんな理由なの?誰とだったんだろうな?」
 「覚えてない?、貴方が35歳の時、独立して会社を設立しようとしても何処の銀行もお金を貸してくれなかったことを。でも覚えているでしょ。あの日の夜、銀行の頭取から電話があって、何も聞かずに貴方の必要な金を貸してくれたのを」
「おー、そうだったのか、君が私のために、、、なんと申し訳ないことを! 決して恨まないよ、それで、2回目は?」
 「そう、思い出すでしょ、貴方が心臓病で倒れて緊急手術が必要なのに、何処の病院も受け付けてくれず、、ゴメス先生だけが、そうなの、ゴメス先生が手術してくれたのよ!」
「ええっ、、そうだったのか!君が私の命を救ってくれたことになるな!それで、最後の3回目は?」
 「数年前だったかしら、私は反対したのに、貴方がゴルフクラブの理事長になりたいと立候補したのは。 覚えている??  貴方が理事長に当選するためには 8人もの理事の票が不足していたのを!!」 ***


★【サウナに携帯を持っていくべからず
  ホテルのサウナで7、8人の男が、わいわいがやがやと、、、そこへ携帯電話の呼び出し音が鳴り響いた。一人の男がそれを取り上げて、
 
”オーラ  もしもしーー”
 
「もしもし、あなた! 聞こえる? 私よ、サウナにいるの?」
 
「私ね、今、毛皮屋さんにきているの、ね〜 あなた! 素敵なミンクのコートがあるのよ! 8000ドルなんだけど〜、、 とても似合うのよ、、買ってもいいかしら?  素晴らしいのよ、アナタ、!買ってもいいでしょ??」
 
”うう〜ん いいだろう、、ハンドバックと調和できるようにするんだな”
 「それにね、あなた、 ここの車のディーラーに寄ってみたの、 うちのもそろそろ買い替えときだと思うのよ、そうでしょ! 丁度セールス・プロモーションをしていたの! 1台だけ残っているBMWがあるのよ!!」
 ”ふう〜ん、、、幾らなんだ?」
 「7万ドルなんだけど、、電話1本すればOKなのよ!」

 
”ええ〜っ、、 分かったよ、買うんだな! だけどアクセサリーも含めての金額になるよう頼むんだな、、 まあ、少々だけならアップしても、、、!
 
「あなた〜、愛してるわ! 直ぐ電話する」 「それとね〜あなた〜、母のことなんだけど、一ケ月だけでも家に連れてきたいの、試してみたいのよ、、いいでしょ! 母も前々から希望していたのを知ってるでしょ!?」
 
”うう〜ん まあいいだろ、一ケ月試すだけなら!! 来週つれて来るんだな、、
 
「あなた〜〜ん 大好きよ! 愛してるわ!!」
 
”OK、、私もだよ、、!

 この携帯電話の電源を切った男、周囲を見回して、”この携帯は誰のだあ〜〜!?” ***

★【人はみな立場により物事の見方が違うことを忘れてはならない】
  まじめに生きてきた小心者の男が癌に侵され、ついに危篤状態になった。主治医から、残念ながらもう万に一つの可能性もないと告げれれたのに、神様の思し召しか、男は突然目を覚まし、そばにいる妻に言いました。
『す〜っと側にいてくれたのかい?』
 『ああ〜、あなた! よかったわ〜、うれしいわ!』
夫は再び、目を閉じて、そして、ゆっくりと、
『結婚する前だった、、君の友達に失恋した時、ず〜っと側にいてくれたな〜』
 『そう、君と結婚し、、働いていた会社を首になった時、ず〜っと側にいてくれたね〜』
『独立して会社を興し、、それが倒産した時、ず〜っと側にいてくれたな〜』
 『家に強盗が入って、金を盗まれ、しかも強盗に殴られて大怪我をして、入院した時、ず〜っと側にいてくれたな〜』
『生活に窮し、ニッチもサッチモ行かなくなって、自宅を売ることになった時も、君はず〜っと側にいてくれたね〜』
 『こうして危篤になっても、君は一瞬たりとも側を離れずに、、、』
これを聞いた妻は、感動の涙が止みません、、、
 『まあ、あなた、奇跡だわ! いろいろなこと忘れないでいてくれたのね、、、』
夫は妻の言葉を遮って、
『私がどうゆうことを考えているか、、君に判るだろうか?』
 『なにかしら、、ね〜、あなたが元気にさえなれば、私嬉しいのよ、、、
『君と一緒にいる時は、常に不運であり、不幸が付きまとっていたな〜と考えているんだ!』 **

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